▼三絃Q&A

(1)三味線といえば「津軽三味線」を思い浮かべます。箏と合わせる三味線とは違うの?

▼三味線の種類
 棹の太さにより、細棹(長唄)、中棹(地歌)、太棹(義太夫・津軽)の3種類に大きく分かれます

【細棹】 長唄用。全ての三味線の原型

 長唄 …明るく華やかな音色が特色。歌舞伎などの伴奏で使われる

【中棹】 地歌、民謡、小唄などに使われる

 地歌 …繊細でデリケートな音色が特色。お箏と一緒に発展してきた三味線。「三絃」ともいう

三絃↑マイ三絃の「ハミちゃん」と撥の「バッチール」

 小唄 …原則的に撥を使わず爪弾きでサビのある柔らかい音色
 民謡 …素朴で親しみのある音色の特色がある、全国に残る民謡の伴奏三味線

【太棹】 義太夫(浄瑠璃)、津軽

 津軽 …青森県津軽地方に伝わってきた三味線。 現代では独奏楽器として発展している。撥を叩きつける打楽器的奏法とテンポの速い楽曲が特徴

(2)皮って猫皮なの?

現在は、猫皮(四つ皮)、犬皮、合成皮の3種類が使われています。

一般の人には猫皮が多いと思われていますが、その数は意外と少ないとか。

猫皮はしなやかできめ細かいため、キレイで柔らかい音色が得られますが、1匹からとれる皮は三味線一丁分にしかならず、更に破れやすく高価だからです。

それに比べて犬皮は、1匹から約3丁分の皮がとれるので、猫皮よりも安くお稽古用によく使われているそうです。

しかし、猫皮に比べるときめが粗く、全体的に厚めのものが多いので硬い音色です。
猫皮も犬皮も、湿気対策に非常に気を使わないといけないものなので、それを気にしなくてもよい合成皮が1980年代に登場しました。
管理はラクチンですが、音色は良くありません。。。

三絃演奏

(3)白い撥と豹柄みたいな撥ってどう違うの?

白い撥は象牙orプラ撥で、豹柄は鼈甲(べっこう)です

べっ甲撥  プラスチック撥

【象牙】 撥の最高級品 撥先のしなり抜群。上品で張りのある音色。
丸撥(1本の象牙を削りだしたもの)とハギ撥(二つ以上の象牙をあわせたもの) 超高価!

【鼈甲】(写真左) お稽古や演奏会用で一番多く使われている。握り部分はプラスチック
比較的安価のわりには音色もよく長く使える。
鼈甲のアメ色部分が多いほどしなりがよく、黒い部分がはっきりしているほど上物とされている。

【象牙調プラスチック】(写真右) 丸撥そっくりさん
部活動など練習で使用しているのはプラ撥が多いです。
「初心者はコレを!」のはずが、私はいきなり鼈甲撥を買わされました……ナンデ(・ω・)
弾き比べたらわかりますが、プラ撥はしなりません。

(4)バチって重そう…

民謡、津軽、長唄用に比べると、地歌用は大きめのようです。
地歌撥は津山検校という人が発案したことから、別名「津山撥」と呼ばれています。

津山撥は、撥の長さで「七八(23.4センチ)」、「七五(22.5センチ)」、「七二(21.6センチ)」の3種類にわかれています。
現在は七八が多くなっているようです。

私の使用しているべっ甲撥は、長さ23.7センチ、撥先の開き14センチ、重さ252グラムの七八サイズ。

はじめて持った時は重く感じましたが、その重みで弦を鳴らすということを考えたら、自然と馴染んでくるものなのかなあと…

家のプラスチックしゃもじが27gだったので、その約10倍の重さ。
しゃもじ10枚束ねて持ってみると重さは実感できると思います(/・ω・)/

(5)演奏会で、演奏者の斜め後ろに三味線が置いてあったけど、あれは何?

替えの三味線です。
演奏中に糸が切れた場合、張り替えている暇がないので、替えの三絃と交換します。
立奏の場合、ギタースタンドを使っていました。
洋楽器屋さんにも売っているアレです。意外にもジャストフィットします。

ギタースタンド

(6)左手人さし指につけてるのって何?

指すりといいます。
白、青、ピンク、赤、紫…とカラーバリエーション豊富。
三絃は指を滑らせて移動するので、何もつけていないと弾きにくいです。

指すり

(7)糸は何でできているの?

糸の素材は基本的には絹。やさしく凛とした音色が出ます。
本来の絹糸は白ですが、三味線の糸は「ウコン」で黄色く染められているようです。

絹糸は傷や摩擦に弱いので、撚らずに糊で固めているだけの3の糸は特に切れやすいため、テトロンを代用することがあります。
お稽古や速い曲を弾くときなどに使われます。

しかし、硬い繊維なので、スリやハジキなどの技法は指が滑らず痛い上、良い音が出にくいという困った面もあります。

私は普段は3の糸はテトロンを使用し、演奏会間近になると絹糸に変えることが多いです。
糸は予備が置いてありますが、長い間保管しすぎると劣化が進むため、切れやすくなり音色も悪くなります。

新しい糸を巻き終わって「さあ弾くぞ!」って意気込んだ瞬間「プツン!」と切れた時のショックといったら…(つд⊂)

買う時は楽器屋さんで、適度な量を買うのが楽器にも懐にもやさしいですね。

三絃の糸
三絃の糸