▼箏Q&A

(1)「箏」と「琴」って違うの?

  箏

日本では古来、弦楽器を「こと」と呼びます。
琴柱(ことじ)を移動して調弦するのが「箏」、琴柱を使わずに音のつぼをおさえて弾くのが「琴」です。
「箏」は常用漢字になく、世間に浸透していない理由から「琴」の字が代用されているそうです。
(…常用にしてくれよ~(;´Д`))

とはいっても、やっぱり原理の違う楽器なので、この機会に「」を覚えてもらえると嬉しいです♪

※箏の絃は13本あり、琴柱(柱)を1つずつかけます

(2)やけに長い楽器ですね…

約6尺(182cm)あります。
持ち運び時、室内ドアの高さが低いと、うっかりぶつけてしまうので注意です。

龍の象徴とされている楽器なので、各部には龍頭、龍角、龍尾など龍にちなんだ名前がつけられています。

箏

(3)箏って「お嬢様」なイメージで、自分には合うかどうか…

私はお嬢様ではありませんが、箏弾いています(笑)
大学の箏曲部員は9割方そんなもんでした。

江戸時代は、箏は盲人音楽家しかプロになれなかったらしく、武家では高尚な音楽とされ、娘のたしなみとしてもてはやされたというのが、「お嬢様」イメージに影響してるのかしら……?

ちなみに、私が通っている教室のレッスン料は1回(約45分)3,000円。
これでも安い方とか。箏に限らず、習い事はお金がかかるものです……


学生時代のバイト代は、ほぼお箏に消えてゆきました。。。('Д')

(4)正座でしか弾かないと思ってました

正座して弾くことを座奏(ざそう)、立奏台にお箏を乗せ、イスに座って弾くことを立奏(りっそう)といいます。

私は立奏のが楽ですが、狭い場所などで、立奏台や椅子を置くスペースがない場合は、座奏のが適しています。
あと、和服を着て弾く時は座奏のが弾きやすいかも(←立奏だと袖が重いから)

三絃は安定感の面から、毎回ほぼ座奏で練習しています。

▼座奏

座奏

▼立奏

立奏

(5)いつも着物きて弾くの?

お稽古は普段着です。ラフな格好でOK。

衣装を着る時は、演奏会内容や曲のメンバーで合わせています。
(といっても、演奏会では和服を着ることが多いかも)

洋服の場合、下は黒ズボン、上は白シャツ、または曲のイメージに合わせたカラーカットソーなど、手持ちの洋服で良いので、新たに購入することはほぼありません。

見栄えは着物のが豪華ですが、動きやすさから言うと、洋服のが断然効率良し(←着慣れてないから)

(6)弦は何でできているの?

箏の弦は昔は絹糸だったそうですが、高価で切れやすいため、現在ではナイロンやテトロン等の化学繊維からなる糸が主流となっています。

三絃については、3本の弦のうち、一番細い三の糸はテトロン糸を使うことが多いです。
絹糸がぷちぷち切れる度に糸をかけ直していたストレスから解放されます。

といっても、音色は絹糸のほうがはるかに良い響きなので、演奏会本番では絹糸に変えます。
(※激しめの曲を弾く時はテトロンのまま)

(7)箏の魅力って何?

心に響く音でしょうか。
箏は、ちょっと物悲しい雰囲気も持ち合わせた、情緒を感じられる楽器かなと思います。
あと、弾き方の面では、

・誰でもすぐに音は出せる
・使う弦は13本だけ
・ある程度の筋力があれば続けられる


という、とっつきやすさがあります。
でも、奥は非常に深~い楽器です。

たいていの人は、「箏=大和撫子」をイメージするので、ジャカジャカ激しい曲を聴くと、「かっこええやん!」と驚きます。

ギャップのあるのも一つの魅力ですね。
珍しい楽器なので、それだけで惹き込まれた感じもします。

(1)箏を弾くときに必要なものは?

【必須】箏爪、チューナー 【便利】サージカルテープ、両面テープ

これらをまとめてポーチに入れています 。
筆記具も入れておくと、お稽古時「鉛筆忘れた!」となっても、慌てずにすみます。

琴爪

【箏爪】右手の親指、人差し指、中指にはめます

チューナーで音程をとります。私は一般的な洋楽器用を使っています。
いつも442Hzで合わせています。

チューナー

(2)箏爪ってなんぼするの?

1,000円台のお手軽価格から1万円するものまで……材質によってピンキリです。

私が購入した象牙爪は8,500円くらいでした。
ちなみに黒い爪輪は1個300円ほど。

爪輪は次第に緩んでくるので何度か交換していますが、箏爪本体は、よっぽどボロボロにならない限り、買い替える必要はないと思われます。(爪の角は丸くなってきます)

一番使う親指の箏爪は角が取れやすく、私のは約15年目で中指の箏爪と入れ替えてもらいました。
こもった音がスパッとクリアに様変わり!

琴爪

(3)弦ってどうやって覚えるの?

箏には13本の弦がありますが、初めて弾く時はどこが何番目の弦かがわかりやすいように、五、七、十の弦に印を付けます

だんだん慣れてきたら印を消します。
印は色鉛筆や、擦って消せるマーカーペンなどを使います。

「弦に印!?」と思うかもしれませんが、十七絃(低音の箏)は印を付けておかないと、何がなんだかわかりません。
それに比べて箏は、オクターブ幅がだいたい同じなので覚えやすいです。

ちなみに、印を消すときはたこ糸でゴシゴシします。

印の付いた弦

※五・七・十の弦に青い印がついています

(1)箏爪が抜けやすいの!

箏爪の内側に両面テープを貼ると抜けにくくなります。
(下図の線で囲まれた部分)

両面テープのついた琴爪

15mm幅がジャストフィットします。
そして、親指の腹を全体的に舐めてからはめましょう。

(2)箏爪の輪っかが食い込んで痛い!

サージカルテープ(ガーゼとかに貼る白いテープ)を、痛い指の爪の付け根辺りに貼る。

すると、爪輪が直接触れないので痛くなりません。

ただ、箏爪がきつめだとテープの厚みが重なって抜けやすくなるので、親指の腹をしっかり舐めてから貼ると良いです。

爪の付け根に白テープを貼った親指

(3)箏爪が3つぴったり収まる安いケースってないの?

和雑貨屋さんでよく見かける和柄のジュエリーケースがあります。
1個700円ほどで買えます。

箏爪専用のケースは結構お高いので、私は数年間こちらを使用していました。
サイズが小さめなので入れ方に工夫が要りますが、丈夫なのでオススメです。

現在は壊れてしまったため、自宅で見つけたプラケースに入れています。
和柄シール等でデコってもお洒落ですね。

箏爪が傷つかず、爪輪がつぶれない入れ物ならほぼ何でもOKです。

琴爪入れ  琴爪入れ

(4)弾く気が起こりません

私にもよくあります。ここ数年はまさにこの状態です。
調弦とるのすら面倒くさい……
弾けてくると楽しいけど、それまでは思い通りにいかずイライラ!ってすることも多々。

そういう時は、今まで弾いたお気に入りの曲をちょろっと弾いてみます。
私の場合はよく、ひとり『あこがれ』をしています。

学生時代に弾きこんだ思い入れのある曲で、指の練習にもなるし、Ⅰ箏とⅡ箏のメロディーラインを交互に弾くと、それなりに豪華に聞こえます。


練習中の曲以外を弾くなんて…という後ろめたさを感じるかもしれませんが、弾いていて楽しくないと更にお箏がイヤになります。

たまには違う曲を弾いて、気分転換するのも上達の秘訣だと思います。

気分次第

(5)楽譜が上手くめくれません

演奏会で気になることの1つが楽譜めくり音

ガンガン弾いている時ならまだしも、静かな所で楽譜をめくる音はものすごく目立ちます。
個人的に、あの「ペラッ!」音が嫌いなので、余裕を持ってめくる心がけをしていました。

がしかし、歳をとるにつれてものすごくめくりづらくなり、無理にめくろうとすると紙が曲がったり、2枚めくってしまったり…

「ああ!もうっ!鬱陶しい!」
そんな些細なイライラを解消するのに役立つのが付箋

ページの端に貼り付けておくだけで、めくり効率(?)が驚くほどよくなりました。

付箋を貼った楽譜

ページ番号をかいておくとわかりやすいです。
ただ、勢いよく引っ張りすぎると取れます…

付箋を貼った楽譜

更に、カバンやファイルに出し入れしていると、「くるん」と丸まってきます。
たまに、どこかのページのだけ行方不明になり、忘れた頃に発見するというせつない出来事も…

ある時、幅太の付箋を貼っていたら「大きすぎwww」と、師匠に笑われたので、あまり目立たせないようにご注意ください。