趣 味   く る ま の メ ン テ ナ ン ス

 ヴィッツ・ジムニーに限らず、どんな車でも共通の簡単なメンテナンスやDIYの方法など何でも有り。
 車いじりのガラクタ箱コーナー!?
 
写真満載で重いですのでご注意ください!改造は自己責任でお願いいたします。

ブレーキパッドを交換しよう(フロント編)

ブレーキパッドはクルマが止まるために最も重要な部品のひとつです。
おおよそ車検おきに交換すると言うのが標準的ですが、走行距離が多かったり、MIZOのようにスリットローターをつけていたりすると減りは早くなります。またそうで無くても効きの良いスポーツパッドに交換したいと言う方も多いはず。
パッドの交換は難しいように思われていますが実際はそれほど難しい物ではありません。
基本はみな同じなので一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今回はフロントブレーキパッドの交換を御紹介します。

交換手順

ここで紹介する手順ですが、ヴィッツRS(NCP13)をドナーにしました。極々一般的なシングルポッド(ピストンが一個で片側から押すタイプ)で、普通車に最も多く採用されているタイプです。ツインポッド、対向ポッドなどありますが基本はみな同じです。なお、以下解説は車両左フロント(助手席側)のブレーキでの解説です。

まずクルマをジャッキアップしタイヤを外します。ウマを掛け、タイヤは車体の下に。基本はいつも忠実に。
タイヤを外しますと、ブレーキローター(ブレーキディスク)とキャリパー(ブレーキパッド、ピストンなどを固定している部分)は一目で解ると思います。


キャリパーを上から覗き込むと3本のボルトが見えると思います。右の写真はフロント下側から覗いたキャリパーの下部です。ここにもキャリパー上部と同じボルトがあります。
青マル(青矢印)のボルト(17ミリ)はキャリパー本体を固定しているボルトです。
ブレーキパッドの交換には赤マル(赤矢印)のボルトと緑マル(緑矢印)のボルト(それぞれ14ミリ)を使います。
キャリパー固定のボルトは今回は緩めません。これはブレーキローターの交換の時には使いましたね。


それでは、パッドを外すためにキャリパーのボルトを緩めます。キャリパー下部側のボルト(赤矢印と緑矢印)のボルトにスパナを掛け、緑矢印ボルト(外側)を固定、赤矢印ボルト(内側)を緩めます。
緩める時に力を入れすぎて、一気に緩めると体をぶつけて怪我をする恐れが有りますので力加減には注意しましょう。

赤矢印のボルトを緩め抜くとキャリパーが持ち上がります。持ち上げたキャリパーは針金などでサスにぶら下げておきましょう。



これでパッド全体が見えるようになりました。この状態までくれば、簡単にパッドが外れますのでパッドを外します。

パッドを外したキャリパーにはステンレス製の板ピン(フィッティングシム)が付いたままですので、引っかかっている部分を外して、付着している古いブレーキグリースやブレーキダストをブレーキクリーナーを噴射しきれいに洗浄します。キャリパー本体の洗浄も忘れずに。



パッドにはステンレスの当て板(シム)が付いていますが、これはつまむと簡単に外れます。パッドやシムには古いブレーキグリースやブレーキダストがこびり付いているのでブレーキクリーナーを噴射しきれいに洗浄します。


シムには表裏があるのでしっかりと覚えておきましょう。
またパッド自体にも車両の外側、内側の装着指定がありますので覚えておきます。ヴィッツの場合ピンが付いているパッドが内側です。なお表裏に関しては間違えようが無いと思います。

余談ながら、シムの役割はブレーキの鳴き防止や効き具合をマイルドにするため(←日本人の好みだそうです)にある物です。従ってダイレクトな効きを希望される場合装着しなくても構いません。レースなどではシムを外すのは常識の調整です。



きれいに洗浄したら、今度は組み付けます。
組み付けにはブレーキグリースを使います。パッド、シムに薄くブレーキグリースを塗ります。シムを組み付けた時にはみ出ない程度で十分です。塗りすぎると垂れてしまい、効きに大きな影響が出る場合もありますので要注意です。
パッドの耳の部分(ちょうどフィッティングシムがあたる部分)にも少し塗っておきましょう。



キャリパーのピストンのフチ回りにも少し塗っておきましょう。

なお、くれぐれも普通のグリスを使わぬように。死にます(笑)。なお、このグリス、本来の使用目的とは違いますがプラグや高温部ボルトの焼き付き防止などに使えるので一本あると便利です。ただし使用量を間違わぬよう。つけすぎるとかえって緩みなどの原因になりかねませんので。


キャリパーに洗浄したフィッティングシムを組み付け、パッドを元通りに取り付けます。
あとは、外した時の逆の手順で装着すれば完成です。

なお、使い古したパッドを新品に交換すると、ピストンが出ていてパッドがはまらない時があります。その時はピストンをグッと押し込んでやると引っ込みますので、それで十分な隙間を作ってやってください。このピストン戻しの作業には押し込むための専用の工具がありますが、指で押し込んでも入りますし、ウォータープライヤーのような物で挟んでも良いです(ただしピストンに傷つけぬよう) また100均でクランプを買ってきてそれで閉め込んでも良いでしょう。
なお、ピストンを押し込んだ分、ブレーキオイルがエンジンルーム内にあるブレーキフィールドタンクに戻されます。タンクからオイルが溢れぬようにタオルなどでカバーしておきましょう。ブレーキオイルは塗装面に付くと塗装が剥げます。

ブレーキパッドの交換が終わったら、必ずクルマを走らせる前に停車状態でブレーキをグッと踏んでおきましょう。ピストンが奥に戻された場合、初っ端なの数回はブレーキを踏んでも効きませんので。


ブレーキパッド交換への私感

この作業は重要保安部品の交換なので作業には慎重にならなくてはなりません。しかしながら、意外に簡単な作業であり、手順さえ覚えてしまえばどうって事ありません。
特にレースに出られたり、オークションでパッドを買われたりした場合、工賃が気になる物ですが、マスターしてしまえば、その節約効果は計り知れない物です。スポーツパッドの場合「つけて見なけりゃわからない」的な要素が非常に強いアイテムです。そんな時、自分で交換できれば大変助かりますね。
しかしながら、作業ミスは重大事故に繋がりかねません。初めての場合は経験者に付き添ってもらい手順をしっかりマスターした上でDIYしましょう。

<使用部品>

ヴィッツRS(NCP13)のフロントブレーキ回りの純正供給部品

フロントブレーキ パッド  04465−17140  7600円 (1台分4枚)
フロントディスクブレーキ アンチスクイールシムキット  04945−20210  520円 (両輪分)
フロントディスクブレーキ フィッティングキット  04947−52010  960円 (両輪分)
フロントディスクブレーキ シリンダキット  04479−52020  2100円 (両輪分)

フロントブレーキ ディスク  43512−52040  8000円 (1枚)
フロントブレーキ ホース右  90947−02C31  1930円
フロントブレーキ ホース左  90947−02C32  1930円
ブレーキホースガスケット  47389−50020  280円 (1個)

ちなみに、キャリパー本体は片側19990円です。

<使用工具など>

コンビネーションレンチ 14ミリ、メガネレンチ 14×17ミリ、針金 50センチほど、ジャッキ、ウマ、クロスレンチ

ブレーキパーツクリーナー 適量 (今回の場合720ML1本半)、ブレーキグリース 少量、キリッと冷えたスーパードライ 大量

  

叱咤激励苦情陳情はこちらまで

メールはこちらまでお気軽にどうぞ
IE5.5 1024×768以上 文字サイズは中以下を推奨