高田の軕は、その独特な構造上、高田型と呼ばれています。高田型は、名古屋型を踏襲し、さらに高田商店街の地形に合わせ発展させた型となっています。

名古屋型の主な特徴としては。
・中段とは別に、「前軕」が存在していること。
・車輪に巻き込み防止の「輪掛け」があること。

 以上の点に加え、
・中段以上を360度回転することができる。
・屋根の高さを変えることができる。
・軕の進行方向を変えるための舵棒が前後に1本ずつ。

 また、回転機構を実現するためには、以下の構造が必要となる。
・軕の上・中段を下段の
1本の軸で支える。
・下段には、軸を支える梁が置かれている。
・軕前後の中・下段にわたり、杭で固定されている。

 この構造により、昔から道幅が狭い商店街を、軕本体の方向を変えなくても、軕上部を回転させ、神社等への奉芸時に正面を向けることができます。そのため、道幅の割に軕は大きなものとなっています。

 照鱗閣軕は、子供歌舞伎を芸とする車山のため、長浜形式です。

 尚、回転機構自体は、「関の山」の語源となっている、三重県関町の関祭りをはじめ、いくつかの祭りでも見ることができます。

中・上段の回転
「せ~の、よいさ~」 四角(よすみ)注意! 巻き込み注意 杭をあわせる
高田の軕の構造
・屋根の上下

軕は、屋根を上下させることで1メートル前後高さを変えることができる。屋根を下げることができれば、鯱等の屋根飾りの取り付けも容易になり、軕倉の高さも低くすることができる。

西町の猩々軕の場合では、屋根は、四方の柱と連携しており、大小の長さの異なる木棒をもちい高さを一定にしている。屋根を持ち上げる作業は、四方に2人ずつ、計8人が軕に乗り込み徐々に屋根を上げ下げする。
    
・前後に設置された杭        ・名古屋形式の「輪掛け」    ・進行方向を変える「舵棒」