軕を持つ町内を、軕組と呼んでいます。

各軕組から、祭りにかかわる役員選出が行われ、愛宕神社に仕える人事課も選ばれます。さらに、軕曳き、囃子方、人形方、獅子方等の細かい役割が決められ、それぞれ準備を始めます。5月に入ると、囃子等の稽古も始まり、商店街も賑やかさが増し、いよいよ祭りのシーズンが到来です。

 かつての祭りは、5日に祭りを開催するか否かの決定をする初寄会、17日に「地ならし」18日に「試楽」、19日に「本楽」と固定開催されていました。しかし平成に入り、5月の第3土日の開催となりました。

地ならしは、近年まで行われていましたが、2002年(平成14年)に猩々軕が行ったのを最後に行われていません。「地ならし」は、道路がアスファルトで舗装されていなかった頃、道路の状況を確認するために行われていた名残でした。

 「試楽」は、午前中に各軕が飾りつけを行い、軕曳き開始まで、軕倉前で展示されます。午後3時に曳軕が開始され、商店街を進み、西町と中町の境で出そろいます。そして、午後5時には、祭りのはじまりを告げる『曳き寄せの儀』が執り行われ、各町の役員らが、祭りが盛大に、無事に終えることを願います。

 2010年(平成22年)からは、試楽後に、軕のライトアップ企画が行われています。

 「本楽」は、午前、午後、宵軕の3部に分かれています。

 午前の部では、午前9時頃から、神楽獅子軕、林和靖軕、猩々軕の順で愛宕神社に向かい、それぞれ獅子舞、からくり奉芸を行い、商店街の西端まで曳かれ、据え置きます。一方、午前11時から、愛宕神社本殿では氏子総代や各町の役員らが参列し、宮司により『祝詞の儀』の奏上を行い、舞姫による『浦安の舞』ののち、『神幸の儀』に移ります。これは、ご神体が神社から御旅所へうつられる準備をし、警護の行列に伴われたご神体は商店街を一回りし御旅所へ向かわれます。かつては、お神輿によって御旅所までうつられましたが、現在では、神籬台(ひもろぎだい)が使われています。

 午後の部は、午後2時から開始されます。商店街の西端に据え置かれた3軕は、その年の順番で御旅所へ向かいます。道中では、神事課宅、辻、最後に御旅所に奉芸し、午後5時ごろに到着します。到着後、各軕はすみやかに提灯や雪洞を取り付け、宵軕用の装飾を施します。

 宵軕は、午後7時から始まります。御旅所で、ご神体が本殿に戻られる『還幸の儀』を行い、ご神体行列の後を、200個近い提灯や雪洞で輝く3軕が、猩々軕、林和靖軕、神楽獅子軕の順で随行します。午後9時ごろに愛宕神社にて神様をお見送りし、西町と中町の境に曳き寄せられ『曳き別れの儀』を行い、祭りの幕が閉じます。

 祭りのあとは、装飾品をすべて取り外し、軕を骨組み状態にして軕倉に収める『軕おろし』が行われます。